「ちゃちゃまるとの出会い」の日をきっかけに、自宅から15分くらいの距離にある公園へ週に2回くらい車で餌やりに出向き、公園内のほとんどの猫ちゃんが私の顔を見たら走ってくるようになっていました。その間に出会った、毎日朝夕2回、長年餌やりに隣町から来ているおじさんのTさんや、初めて公園に来た日に話をしたおじさんのYさん、私と同年代くらいで、車で30分以上かけて通勤の前後にわざわざ勤務先とは逆方向のこの公園まで週に何度も出向いて餌やりなどの保護活動を続けているⅯさんたちの、可哀そうな野良猫たちへの惜しみない愛情と献身的な活動には心底感銘させられました。
Tさんが公園へやってくると、Tさんの後ろを10匹くらいの猫がぞろぞろと出て来てカルガモ親子のように歩いていきます。初めてその光景を見た時は本当に驚きました。Tさんがベンチに座ると膝の上に必ず座る雌の白猫シロちゃんは、Tさんにだけ懐いていました。Tさんは猫たちそれぞれの習性に合わせて餌やり皿固定器具などを手作りしていました。柵などの高いところが好きな子には柵の上に座って食べれるように、柵に固定する器具を作って持参していました。Tさんの猫たち見る目はとても優しくて、今でもその表情が目に浮かびます。このTさんもYさんと同様に、よく公園の管理をしている人たちとは野良猫への餌やりについて喧嘩をしたらしいです。TさんはMさんのことを「本当にあの人は凄い。僕らなんかは飯食わせてやることしかできんけど、あの人は死んだ猫を抱いて埋めてやったり、薬あげたり、とにかく僕らとはレベルが違う。若いのにほんまにえらいわ。」というような話をよくしていました。毎日2回車で隣の市から来て長年餌やりをしているTさんも、とんでもなく凄いです。
Mさんは仕事に行く前か終わった後、職場からは全く別方向のこの公園へ、車で30分以上かかるにもかかわらず、ほぼ毎日のように来て世話をされていました。Yさんは駐車場にいる猫たち、Tさんは公園内の猫たちの世話をしていましたが、このMさんは、両方の全ての猫たちの面倒を見ていました。野良猫たちのために鶏肉を数キログラム買って、鍋でコトコト長時間煮て、ほぐした身とスープを持参して野良猫ちゃんたちにあげていました。ちゃちゃまるが特にその鶏スープが好きだったらしいです。餌やりだけでなく、激しい痒みで命を落とすことも多い疥癬にかかっている猫ちゃんに治療薬を飲ませたり、寒い冬には段ボールや発泡スチロールで作った手製の猫ハウスも置いたり、死んでしまった猫たちを土に埋めてあげたり、野良猫ちゃんたちのために何でもしてあげていました。「ちゃちゃまる」の名付け親はこのMさんでした。
上の写真の雌猫「片目ちゃん」はこの公園で産まれて一度も人に飼われたことがない完全な野良猫でした。おじさんたちの話によると、赤ちゃんの時にカラスに片目を傷つけられてしまったらしいです😢体は小さいですが、5~7歳くらいのようで、一人でたくましく、生き残ってきました。片目ちゃんはMさんにとても懐いていて、Mさんによく抱っこされていました。他の猫ちゃんはほぼ全部が捨て猫で幼い時に人に飼われた経験がありましたが、この子だけは違ったので、私は『あー、この子は片目を失って、親猫も早くに亡くなって、とても辛い人生を歩んできているけれど、人に一度も飼われたことがないし、最も誰かに保護されて飼い猫になることが困難なタイプだなぁ。可哀そうだけど強くたくましく生きていくことを願うしかできないなぁ….。』と、考えていました。でも、この子に奇跡が起こりました!なんと大好きなMさんが体調を崩していた片目ちゃんを動物病院へ連れて行き、自宅で保護して飼うことになったのです!このニュースをMさんから聞いた時には本当にビックリして、Mさんの懐の深さと優しさには心底、感動しました。後から聞いた話では、やはり飼い馴らすには相当な努力がいったようです。一番大変なのはトイレの躾だったようで、家中、布団の上にも何度もおしっこをしてしまったらしいです。その後処理の苦労は考えるだけで目が回ってしまいます。
この3名の野良猫に対する無償の愛、無償の奉仕活動には、深く感銘し、人としての真の優しさ、あるべき姿など、大切なことをたくさん学ぶことができました。自分も他にもっとできることがあるのでは?と餌やり活動をしながらいろいろ真剣に考えました。かと言って、Yさんのように毎日台風でも欠かさず餌やりをすることは私には難しい、Tさんのように一日に2回も餌やりにくることはなおさら難しい。でもMさんがされている猫の小屋づくりや、病気にかかった猫に薬を飲ませるなどの活動なら私にも少しできるかも!そう考えて近辺の動物病院数件に電話をかけ、「もし怪我をしていたり、病気っぽい野良猫を見つけたらどうしたらいいですか?現場まで野良猫の診察や治療に費用をきちんと払えば来てもらえますか?」などと問い合わせをしました。そのうち一つの動物病院の回答がとても親切で、何かあったらこの病院に連れて行こうと決めました。問い合わせに対する回答は「野良ネコちゃんですか?地域はどのあたりですか?もちろん現場に駆けつけてくれと言われれば行きます。しかし私が駆け付けた時に猫がじっとその場でいるかどうかという問題と、仮にいても応急処置くらいしか現場ではできず、結局きちんと治療をするには病院へ連れてくるしかありません。ですので、そういう子を見つけた時はいつでもこちらで捕獲器を無償でお貸ししますので、なんとか捕獲して連れてきてください。」という風な内容でした。私は電話をする前は、きっとどの病院も私の問い合わせ内容にはあまり相手にしてくれないだろうと考えていたので、この獣医師の回答には喜びました。
公園内の猫たちの間では猫疥癬(かいせん)が流行っていて、ほとんどの猫が疥癬を患っていて、Mさんが薬を飲ませても次から次へと別の子が重症になってしまっている状況でした。ちゃちゃまるも患っていて、とても痒そうにしていましたが、白黒猫の「パンダ」が日に日に悪化していて、食欲も無くなり、明らかに元気がない状況が続いていました。このパンダはとても気立てがよくて人懐っこい子で、公園内でちゃちゃまるとこの子が人懐っこさの一二を争っていました。下の写真で比較画像を見て頂けますが、わずか二カ月余りで可哀そうで見ていられない悲痛な状態に変わってしまいました。想像を絶する痒さだったと思います😢
2018年12月19日、出会った頃のパンダはとっても毛並みの綺麗なイケメンでした。 猫疥癬は短期間で形相が変わってしまう恐ろしい病気です。
意を決して、Tさんの手を借りてパンダをキャリーケージに入れ、ちゃちゃまるでお世話になった同じ動物病院へ連れて行きました。パンダは元家猫のようで、車に乗せても怖がらず、病院で口から薬を入れてもらう時にも一度も嫌がらず、お利口さんにしていました。帰る際にも自分からキャリーの中にスッと入ってくれたので助かりました。疥癬の薬は2、3週間飲ませないといけなかったのですが、これがとても大変でした。飲ませること自体は餌に数滴たらして食べさせるだけなので簡単なのですが、なにせ野良猫ですので、私が公園に出向いた時間に現れるとは限りませんし、薬を垂らした餌を他の猫が食べないようにもしなければなりません。午前中に現れなかったら午後に再度出向くという日が何日間か有りましたが、ほぼ毎日「パンダー!」と呼びながら(恥ずかしいとか言ってれませんでした💦)公園を歩くと走ってきてくれたので助かりました。病院で処方してもらった薬は効果が歴然で、日に日に皮膚が綺麗になって、毛並みも元に戻りました。以前のように走り回って食欲も旺盛になって本当にホッとしました。ただ、もう一つの心配事は、病院での血液検査で猫白血病ウイルスが陽性だったことです。でも、この後、ピンチのパンダに奇跡が訪れました!
パンダはこの数か月後に前足の片足が痛そうで、びっこをひいて歩いていました。再度病院へ連れて行きましたが、何も問題は見当たらなく、多分喧嘩で他の猫の爪が刺さったか何かで、小さな傷があるが、数日したら良くなるでしょうとのことでした。でも、病院で診断を受けて問題がなかったということは他の人は知らないので、翌日たまたま公園へ来たある女性がまたパンダを病院へ連れて行き、こんなに大人しくてもお利口さんな可愛い猫をまた公園暮らしに戻すのは可哀そうだと言って家に連れて帰って飼うことになったと、Tさんから聞きました。パンダおめでとう!と心の中で叫びました。パンダも以前捨てられて辛い思いをして生きて来て、疥癬でも苦しんで、それでも人懐っこくてお利口さんにしていたから未来が開けました!Tさんは、その後心配で、その保護した女性の家に一度パンダの様子を見に行ったらしいです。その女性は過去何年間も猫の保護活動をしていて、この公園の猫たちの不妊去勢手術もこの女性が一人で病院へ連れて行っていました。でもご自身が大病を患ってしばらく活動ができなかったらしいのですが、少し体調が良くなったので、久しぶりに公園の猫たちの様子を見に来たところ、びっこを引いていたパンダに出会ったとのことでした。既に以前保護した猫を一匹自宅で飼っいるので、猫白血病ウイルスを持ったパンダとは家の一階と二階で完全に分けて飼うことにしたそうです。私は結局この方にはその後も一度も公園で会えなかったのですが、本当に優しい素晴らしい方だなと感心しました。
私は今まで旅行とか自分の趣味や好きなことだけをして自分のことだけしか考えて生きて来なかったのに、ここで出会ったボランティアの皆さんは少ない年金を工面して猫の餌を買って毎日食べさせてあげたり、仕事で忙しくても可哀そうな猫のために時間を割いたり、自身が大病を患っても可哀そうな猫たちを心配し続けている。自分自身を見つめ直す良い機会になりました。 また、こういった優しい人たちの言動に目を向け、耳を傾けることをせずに、『野良猫に餌をやって生き永らえさせると、また子供を産んで野良猫の個体数が増えて、庭でおしっこやウンチをされてしまう確率が増える。発情期の時に鳴き声がうるさくて寝れない。置いた餌が残ったままになっていたらカラスが来る。そもそも猫が嫌い、気持ち悪い。だから野良猫に餌を無責任にやるのは止めろ。』こういう風な発言が当たり前のようになっていて、そういう考えとは真逆の動物に優しい人達は、そういった非難の声、目から、まるで悪いことをしてるように隠れながら活動をして、時には非難する人に頭を下げて謝ったり、そういうことが普通で常識的な社会になってしまっている日本という国を悲しく残念に思います。
私がトルコへの移住を決意した理由の一つに動物への優しさ寛大さが有ります。トルコにもたくさんの野良猫がいます。私がトルコで最初に訪れた都市、イスタンブールでは、街中はもちろんのこと、イスラム教徒の祈りの場である代表的な施設、モスクや墓廟(ぼびょう)にも猫が堂々と出入りしています。おじさんたちがバイクに餌を積んで猫のいるところにやってきて餌やりをしていたり、子供が墓廟の入り口で餌やりをしていました。猫だけではありません。トルコでは野良犬もたくさんいるのですが、犬たちも好きなところで自由にのんびり寝転んでいます。鳩やその他の野鳥にも餌やりをしています。2度目に訪れたトルコの都市アンタルヤでは、五つ星ホテル内の高級レストラン内に入口から堂々と猫が2匹入ってきて、店員さんたちは微笑ましく見ているだけで、「しっ!しっ!」とか言って外に出そうなどとはしませんでした。食べているものを少しあげてもいいか聞くと、当然との返事で、テーブルの下で少しお肉をあげました。近くにいたお客さんの子供たちは店内で猫を抱っこして可愛がっていました。これは本当に良い意味でのカルチャーショックでした。 トルコでは動物に餌をあげることは当たり前のことで、外で猫が食べ残した食べ物はカラスやカモメなど、その他の動物が全部綺麗に食べてくれるから問題ないという考え方です。日本でのカラスが来るから餌を置くなという考え方とは全くの真逆です!レストランで余った食べ物も捨てずに動物たちに還元しています。まだ食べれる物は無駄にゴミ箱に捨てたりしません。すべての動物が神様から命を与えられた大切な生き物で、空腹のまま苦しい思いをさせてはいけないというイスラム教の教えからくる考え方です。とても素晴らしいことだと思います。日本でも動物たちにもっと優しく、もっと寛大な対応ができるように世の中が変化していくことを心から望んでいます。
私も世間体とかを過剰に気にせずに、可哀そうなお腹を空かせたノラちゃんたちに餌やりを始めてみようと思います!
ゴミになるものはきちんと持ち帰って捨てるなど、基本的に綺麗にしておけば文句を言う人も少ないと思いますよ☺
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